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快傑ライオン丸(12) [ライオン丸・ドラマ]

今回は、第24話《ライオン飛行斬り対怪人トビムサシ・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ 盲目の娘・ユリは、ムサシという心優しき侍に好意を寄せていた。だが、このムサシという人物は侍ではなく、南蛮剣法を操るゴースン魔人・トビムサシであった。トビムサシも美しいユリに心惹かれ、いつの日か南蛮医術でユリの目を治すことを考えていた。獅子丸たちが魔王ゴースンの元へ行くためには、トビムサシのいる第二前線基地を通らねばならない。それは、トビムサシとライオン丸が雌雄を決することを意味していた・・・】

◆ライオン丸に変身した獅子丸は、トビムサシとススキが原で対峙していた。空中戦を得意とするトビムサシに、ライオン飛行斬りは通じなかった。互いの力量が同じなため、このままでは決着がつかない。ジリジリと太陽が照りつける下で、ふたりは体力を消耗していった。

勝負は持ち越しとなり、トビムサシも獅子丸も、相手を倒せなかった屈辱の念で心は煮えたぎっていた。ふたりとも相手の攻撃を分析し、次の対戦でどう対応するかを考えていた。

獅子丸はユリの家の井戸を使い、桶に水をいっぱいに入れて、右腕だけで何度も何度も引いた。これにより、右手首の返しをより強化することができる。相手と剣どうしがぶつかった時、手首の返しの強さで相手の剣を鋭く弾くことができるのだ。

『ヤツを倒すためには、もっと深く鍔元(つばもと)に入ることだ。それも素早く!』

一方のトビムサシは、ライオン飛行斬りを破るためには、相手の懐に早く飛び込むことだと考えた。ライオン丸の剣よりも素早く動くには、どうすればいいのか。そのことばかりをしきりに考えている時にユリが現れ、トビムサシに声をかけた。

『ムサシ様!』
『・・・・』
『ムサシ様、どうかなさいましたか?いつもと違い、お元気が無いのでは?』
『いや・・・さぁ、峠まで行きましょう』

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ムサシの様子がいつもと違うことを、ユリは鋭く感じていた。峠へ向かう途中で急な下り坂にさしかかった時、ユリはムサシに手を貸してくれるよう求めた。ムサシがいつものように剣の柄(つか)をユリに差し出した時、ユリは左手で柄に捕まりながら、右手の杖を捨てて、トビムサシの腕にしがみついたのである。

トビムサシは動揺した。正体を隠すため、一度もユリには触れさせたことの無い自分の身体である。ユリのとっさのこの行動を、トビムサシはまったく予測できなかった。嫌われたと思ったトビムサシは、ユリに訊ねた。

『ユリ殿。驚かれたか、私の手を握って・・・』

だが、ユリは嬉しいと言った。今まで、盲目ゆえにからかわれていると思っていたと、ユリは言った。だが、手に触れてみて、剣術修行で松の木のようになったということが本当であると解かり、うれしいのですとユリは言った。

トビムサシは、ハッとした。今のユリの行動から、ひらめくモノがあった。トビムサシはその方法を会得するために、すぐに練習を開始したかった。トビムサシは、ユリに言った。

『ユリ殿が言われるように、今日のムサシはどうかしております。ある男を、どうしても倒さなければならないからです』

「ある男とは?」とユリに訊ねられ、たとえユリでもその名は言えないと言って、トビムサシはその場を立ち去った。

トビムサシが娘とまた会っているとの報告を、ドクロ忍者から聞いた隊長のドクロ仮面は、ヤツを本気にさせるために盲目の娘を捕えるよう、ドクロ忍者たちに命令した。

『ある男とは、もしや獅子丸さんでは・・・』

トビムサシが立ち去ったあと、ユリはそう思った。ふたりの様子を、今まで陰からジッと見ている者がいた。沙織である。

やがてドクロ仮面の指示通り、ひとりになったユリの周囲をドクロ忍者たちが取り囲み、ユリは拉致されようとしていた。ユリとトビムサシの様子を隠れて見ていた沙織が飛び出していき、ユリを助けようとしたが、多勢に無勢でユリは連れて行かれてしまった。

その頃、ドクロ忍者を相手に「ライオン飛行斬り破り」を練習するトビムサシの前に、ドクロ仮面が現れ、こう言った。

『トビムサシ。お前の大事な娘は、俺が預かった。ライオン丸を倒せば、娘を連れて南蛮へ行けるように計らおうとのゴースン様のお約束だ。だが、戦いに敗れれば、娘の命は無い。頼むぞ!』
『くっ、卑怯な!』

一方、沙織から事情を聞いた獅子丸は、小助にヒカリ丸(天馬)を呼ばせると、沙織を後ろへ乗せて、急ぎユリの救助へ向かった。途中で沙織を降ろし、獅子丸はライオン丸に変身して、わざと第二前線基地の正面から攻め込んでいく。正面で敵を引き付けているその間に、沙織が裏手に回ってユリを救出する作戦であった。

ライオン丸の姿を見たドクロ仮面は、トビムサシに命令した。だが、ドクロ仮面の卑怯なやり方に怒りを感じたトビムサシは、沙織にユリを救出させていることをライオン丸から聞かされると、鋭い速さでドクロ仮面の首をはねてしまう。これでライオン丸と正々堂々立ち合える喜びを、トビムサシは感じていた。

ドクロ忍者をすべて倒し、ライオン丸はトビムサシと1対1で対峙した。

『三度目の勝負だ。行くぞ、ライオン丸!』
『望むところだ!来い!』

『ヤツは飛び上がらぬ・・・』
『ヤツの技は、素早くなっている。下手に飛び上がったら、負けてしまう・・・』

ライオン丸はトビムサシの動きから、宙へ飛ぶことが命取りになると思った。だが、ライオン丸を宙へ飛ばせるため、トビムサシはライオン丸を崖に追い詰めて、退路を断つ策に出た。作戦が功を奏し、ライオン丸は宙へジャンプした。

『やった、ヤツを宙(そら)へ追い込んだぞ!』

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遂に、ドクロ忍者数人を犠牲にして編み出した「飛行斬り破り」を出す時がきた。飛行しながら斬り込んでくるライオン丸の右腕をトビムサシは左手でつかみ、右手のサーベルでライオン丸の太刀を叩き折った。そして、トビムサシは自分のサーベルを宙へ投げ上げ、釼先から落ちてくるサーベルの柄を右手でつかむと、ライオン丸に突き刺してとどめを刺すはずであった。

だが、金砂地の太刀が折れたことが、ライオン丸に勝利を呼び込んだ。トビムサシのサーベルが落ちてくる前に、ライオン丸の右手の折れて短くなった金砂地の太刀が、トビムサシの背中を貫いていた。互いをつかんだ状態のまま、ふたりは地面に着地した。

『う、うう、さすがに・・・ライオン丸だ・・・俺の・・・負けだ・・・』

片膝をつき、徐々に姿勢を崩して倒れていくトビムサシは、虫の息でライオン丸に言った。

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『ユ、ユリ殿に・・・ムサシ・・・長い旅に出たと・・・これがゴースンの・・・』

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トビムサシが差し出したのは、ゴースンの居場所を記した地図であった。すべてを承知したライオン丸が何か言おうとしたとき、沙織がユリを救出してこの場へ連れてきた。

『ユ、ユリど・・・』
『ムサシ様・・・ムサシ様!あああ・・・』

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声の様子でムサシの最期を知ったユリは、号泣した。やがて夕焼けがきれいに映えて、トビムサシの亡き骸を照らした。

ユリとの別れの時。南蛮の医術でユリの目を治そうと言ってくれたトビムサシだったが、彼を倒してしまった獅子丸たちに、ユリの目を治すことはできない。何も力になれない自分達のことを、獅子丸と沙織は謝罪した。

『元気を出してくれよ、ユリ姉ちゃん』

ユリは小助に励まされて、目は見えなくても大丈夫、毎日違う姿でムサシ様が自分に会いに来てくれるのだと、元気に話すのだった。自分に優しくしてくれたトビムサシが、どうしても悪い人物には思えないとユリは言う。獅子丸は、ユリにかける言葉が見つからなかった。

(ナレーション)金砂地の太刀は、折れた。はたして、忍法獅子変化はできるのであろうか。しかし、彼等は進まねばならない。トビムサシが残した第二の地図を手掛かりにして。

(終わり)


★★★★★★★★★★★★
なまじ目が見えると、その者(物)の持つ本質が見えなくなることを、この話は語っているのだと思う。

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